- フェチ初級者~中級者
- グラビアの語源や意味について知りたい方
- なぜ「グラビア」が日本に浸透したのかを知りたい方
男性誌、ゴシップ週刊誌にある「グラビア」は1960年代後半から80年代前半生まれの方にとっては、特に馴染み深いのではないでしょうか。
フライデーなどのゴシップ誌にも、プレイボーイやSPA!といった男性誌にも、モノクロの記事ページとは別に、フルカラーのグラビアページというものがあり、様々な女優の卵やアイドル、将来的にAV女優となった芸能人が水着姿などになって掲載されているページがあることを多くの男性は知っているのではないのかと思います。
私達は総じて、その存在を「グラビア」という言葉で使っておりましたし、特にアイドルについては「グラビアアイドル」と言っていた時代もありました。
それではグラビアアイドルの「グラビア」とはどういった意味があるのでしょうか。
「グラビア」の本当の意味と現在について解説致します。
この記事のポイント
- グラビアアイドルの「グラビア」の本当の意味と現在について解説している。
- グラビアとは印刷技術のことで、写真のことを指すことが主流になった。
- グラビアは、雑誌を大量に出版するのに向いているという利点もある。
グラビアの本当の意味
まずグラビアの本当の意味について説明を進めましょう。
これは多くの人が知っていることかもしれませんが「グラビアアイドル」の「グラビア」とは印刷技術のことを言います。
週刊誌の表紙でよく見られる「(アイドルの名前)グラビア掲載!」というのは、グラビアページのことを指し、グラビア印刷で印刷されたページのことを言います。
そのグラビアページによく掲載される傾向にあるアイドルは「グラビアアイドル」と呼ばれている、というのはそのとおりであり、ここまでは多くの人が知っていることなのではないかな、と思います。
グラビア印刷についてもう少し掘り下げてみる
しかし、ここからがあまり多くの人が知らない「グラビア」についてになります。
先述の通り、「グラビア」は印刷技術の一つであると言いましたが、まずグラビアがどういった印刷技術であるかについて説明致します。
グラビアとは凹版(おうはん)印刷の一種です。その凹版印刷自体も印刷技術の一つでありますが、版に図像を削り込み、完成した版にインクをで覆ってから紙に転写する方式のことを言います。
グラビア印刷は凹版印刷と同様に版を用いますが、専用のシリンダと呼ばれるものに版を彫り込みます。その彫り込まれた部分は凹型のくぼみとなりますが、このくぼみにインクがつくことで紙などに転写できるようになります。
従来の印刷方式よりも、さらに大量印刷に向いているのが大きな利点とも言われています。
グラビアの語源
グラビアの語源はフランス語の「gravure」とされています。gravureには彫る、という意味がありますが、版を彫るというというところからきているのではないでしょうか。
ちなみにその後、ドイツの印刷会社である「Rotogravur社」が生まれ、その流れで英語の「rotogravure」(グラビア印刷)になったと考えられています。グラビア、という言葉が印刷技術として一般化したのは、英語で用いられるようになってから、と考えるのが自然でしょう。
なぜアイドルを掲載するページにグラビア印刷が用いられたのか
印刷技術と言っても様々なものがある中、なぜ週刊誌などでアイドルの写真掲載にグラビア印刷が用いられるようになったのかについて説明いたします。
先述の通り、グラビア印刷の利点は大量印刷向きであるという点で雑誌を大量に出版するのに向いていることは想像がつくと思います。
実はそれ以外に重要な理由として、写真の発色が非常に美しく多彩、という利点があります。
これは版を制作する際にくぼみを作って、そこにインクを落とし込みますが、このくぼみが様々な深さに調整することが可能であるため、色彩豊かなものにするために様々なインクを使って、色調を調整することができます。
インクの種類を増やすことで、色の種類をできるだけ多くもたせ、モデルの魅力を最大限に引き出すためにグラビア印刷が適当なものであった、ということができます。
これがグラビア印刷の流行を生む大きなアドバンテージだった、というわけです。
現在のグラビアはどうなっているの?
20世紀末期にはグラビアアイドルが大活躍した時代ということもあり、様々な雑誌でアイドルのグラビア掲載が行われていましたが、もちろん現在でもグラビアページと呼ばれるものは存在します。
しかし実際に利用されている印刷技術はグラビア印刷ではありません。
実は現在ではオフセット印刷と呼ばれる形式の印刷技術が主流となっており、グラビアページと呼ばれるページですら、グラビア印刷ではありません。
つまり本来であればオフセットページ、であり、オフセットアイドルと呼ばれるような時代であるはずなのです。
現在のグラビアは印刷ではなく写真のことを指すことが主流になった
しかしそれと同時にグラビア、という言葉は死んでおらず、今でも雑誌などを中心にグラビアという言葉が使われています。
これは元々、読者側がグラビアのことをグラビア印刷のことである、と丁寧に知る必要もなかったことから「水着を着た女の子が写っているページはグラビアだ」ということに起因しており、結局グラビア印刷が使われなくなった今でも、そのイメージが残っているだけの話です。
印刷技術としてグラビアは使われなくなってしまいましたが、水着を着用したアイドル写真のことをグラビア写真、とも言いますし、白黒ページの多い週刊誌などではカラーのアイドル写真掲載部分をグラビアページと言うこともあります。つまりグラビア印刷が主流だったころの水着アイドルのイメージだけが残ってしまい、現在ではアイドル写真のことをグラビア、と呼んでいる現状があります。
本質的には印刷技術ですが、それに新しい意味がついた言葉という意味では、不思議な感じもしますが、言葉自体が生き物であるため、他の言葉でも同じようなことはよくあります。
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グラビアアイドルの世界でも変化の潮流<モグラ女子>とは
さて、グラビアという言葉が印刷技術としてではなく、写真や雑誌に掲載されるようなアイドルのことを指すようになって長い時間が経っていますが、これはあくまで男性社会の中にある男性的な視点で生まれた文化でした。
しかし2000年代に入ると、女性もこのジャンルにより参入しやすくなったこともあって、新たな存在が生まれます。
2015年8月18日25日号の「FLASH」ではじめて「モグラ女子の時代が来た」という特集が組まれており、このときに初めて言葉としてモグラ女子が広く認知されるようになりました。
モグラ女子とは「モデル」と「グラビア」をかけ合わせた造語で、つまりモデルとしても活動している女性がグラビアにも出るような女性のことをモグラ女子と呼ぶようになったものです。
これまではファッションモデルをこなすようなモデルとグラビアアイドルとでは、決して交わることのない目に見えない線で引かれていると考えられていましたが、いわゆる「モデル側」の女性たちもグラビアシーンに積極的に関われる環境、時勢となったため、グラビア界にもモデルが登場するようになった流れで、モグラ女子という言葉が生まれたのだと推察されます。
一部の人にとっては、モデルの絶対的なプロポーションを活かしたグラビア登場は「黒船だ」と捉える人もいて、業界的には衝撃だった側面もあるようです。
このことを考えると、さらにグラビアという言葉は、掲載の形態、あるいは露出面での意味として考えられるようになるのではないかと推察されます。
まとめ:グラビアの意味は変わりつつある
グラビアという言葉は印刷技術であるということは再三お話していることですが、すでにその技術は使われておらず、あくまで掲載の形体がその意味として使われているのが、この言葉の現状であると考えます。
ポートレートとの違いは?ということもありますが、もはやその部分では越境していて、現在のグラビアの意味を(印刷技術とは別の意味で)ストレートに言うなら、主に週刊誌などで掲載されている女性のポートレート写真がグラビアである、という意味が添加されているような気がします。
流れとしては2000年前後ではグラビアアイドルと呼ばれる女性たちが席巻していましたが、ファッションモデルのような世界の女性たちも参入するようになったということを考えると、グラビアアイドルという言葉もそのうち死語に近いものに変化するかもしれません。
昭和、平成とグラビアの取り巻く環境が大きく変化していく中で、新しい時代の「グラビア」はどのような形態になっていくのか。今後も注目したいところです。