
- フェチ上級者
- フェティッシュコンテンツ業界を取り巻く時代背景について考察を深めたい方
- フェチコンテンツを配信している方
すでに知っている方や気がついている方もいるかもいるかもしれません。
2024年5月現在、世界的な流れを受けスクール水着やセーラー服、体操服といった衣装がネットから排除される動きがあることをご存知でしょうか。
この手の衣装は「未成年を想起させる」ということで、同人系実写ROMをメインに取り扱う流通、ECサイトを中心に排除される傾向にあります。
今回はこのテーマについて、これまでの経緯と今後について考察いたします。
事の発端は国のルールに則ったものではなく、決済代行会社の規制

表現の自由が憲法で保障されている日本においてこの話題を新鮮に受け止めた方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には数年前から海外ではこの規制は起こっておりました。
少なくとも当サイトが観測している限りでは2020年頃に東南アジア系の電子書籍サイトでこのような規制が起こっていたことを間接的に確認しています。
それがついに日本にやってきた、ということになります。
東南アジアの某国では、例えばわいせつではない女性の水着写真集なども販売はされていたのですが、ちょっと過激(と言っても衣装としてはハイレグの水着です)な衣装のものについては、販売が難しくなったと出版社の担当者から聞いたことがあります。
その理由は決済代行会社による取引停止をチラつかせた販売物の規制要請にありました。
決済代行会社には主に海外の企業が席巻していますが、特にイメージを重視するこれらの企業にとって時代的背景が大きく作用しています。
近年盛んに叫ばれるようになったポリコレが背景にあると考えられており、つまるところ表現において過激なものを流通させるのに決済代行会社が加担しているという図式をよく思わない人々の圧力によるものと考えられます。
もっともその彼らにどの程度の力があるのかは知る由もありませんが、企業側からしてもそのようなものに対してサービスが利用されるのはイメージが良くない、という点と、マーケット全体で見て切り捨ててしまっても軽微であると考えたからではないでしょうか。
日本国内においては未成年に対する規制からはじまった
世界的に見ても性表現に関する規制がゆるいとされる日本においては、これまで表現の自由が優先される傾向にあったので、ある意味では日本は世界から見ても性表現のフロンティアだったかもしれません。
ところが近年、AV出演被害防止・救済法に端を発したところから、一般的なAV作品はもちろんのこと、いわゆる同人AVに対する市場の捉え方などにも変化が起こりました。
特に同人系作品を取り扱うECサイトにおいては、出演者の身分、契約状況について報告を求められるようになったのもこの頃です。
そこへ来て今回のような決済代行会社による要請事案が起こったのも、国内で一定の議論が深められユーザーから理解を得られやすいと考えたからではないでしょうか。
このタイミングで流通側に求められたことは過激な表現も含まれていると思いますが、特に「未成年を想起させる」表現方法については、大きなインパクトとなっており「スク水」「ブルマ」「セーラー服」といった未成年が身につけることが基本であろう衣装の画像、テキストに対し規制をかけることになりました。
キャッシュレス決済の台頭から考える今後

さて、これまでの経緯についてお話しましたが、今後、この市場にはどういったことが起こるのかを考えたいと思います。
同人系コンテンツはもとより、フェチやアダルトコンテンツの消費でもっとも使われている決済方法はやはりクレジットカードではないでしょうか。
旧来的な決済方法ですが、流通側が急遽クリエイターや活動者に対して、決済代行会社の要請に基づき明確な規制に踏み切ったことから、危機的状況に陥ったことが想像できます。
一般的な市場から見ても、キャッシュレス決済においてクレジットカードを利用する人の割合は大きく、2023年8月時点で、キャッシュレス決済のうち41.1%がクレジットカードであったと調査結果が出ています。(NIRA総合研究開発機構:キャッシュレス決済実態調査2023(速報)より)
またキャッシュレス決済の比率は消費行動の比率で見て70.6%と高い数値を示しており、このことから引続きクレジットカードによる決済サービスは堅調に推移していくものと考えられます。
ということは、今後も国が保証した表現の自由にとらわれることなく、決済代行会社による表現規制が起こる可能性があるということです。
同人系コンテンツ、フェティッシュコンテンツ業界においては、今後もこのことについて考えなくてはならないような気がします。
幼く見えてしまうモデルが活動できなくなる可能性
間接的に聞いた話ではありますが、欧米では成年であっても幼く見える、子供っぽく見えるモデルに水着を着せて販売したりすることをNGとする流通企業が増えたとされています。
これも決済代行会社によるものが起因しているということでしたが、日本でもこれが起こると憂慮しています。
特に日本人は成人してても諸外国から見れば若く見られがちで、成人女性ですら未成年のように見えることもあるそうです。
そういった意味では、これまでロリ系で売っていたモデルが、成人していることを証明したとしても「未成年を想起させるから」で市場から追い出させる可能性があります。
実際に海外でもそのような規制があることと、日本国内では衣装で規制ができたことから、人そのものに対しても表現の規制をかけることは時代的に可能とも考えられます。
今後の表現規制で生き残るために
先述の予測は最悪考えられるケースとして挙げましたが、そうでなくとも今後はキャッシュレス決済による便利さを享受する中で表現の自由が脅かされる場面を経験しなくてはならない時代が来ていると痛感しています。
そういった規制からどうやって生き残るのか、あるいは戦うのか、といったことは、表現者にとって求められることになるのかもしれません。
少なくとも生き残るための知恵をつけられるよう、アンテナを高く張って情報収集に努めることが肝要かと思います。