エナメル素材とは?PVC・PU・パテントレザーとの違いを徹底解説

エナメル素材とは?PVC・PU・パテントレザーとの違いを徹底解説
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光沢のある素材の代表格としてよく名前が挙がる「エナメル」。バッグや靴、そして衣装の世界でも広く使われている言葉ですが、実は「エナメル」という名前の繊維や樹脂が存在するわけではないことをご存じでしょうか。本記事では、エナメル素材の正体と、混同されやすいPVC・PU・パテントレザーとの違いを、光沢素材メディアの視点から徹底的に解説します。

エナメル素材の正体は「表面加工」

エナメル加工された水着の例
▲よく「エナメル製の水着」と言われることもあるが、正確には「エナメル加工の水着」。コーティングと言う意味ではエナメルということであっているが、一律の「エナメル素材」があるわけではなく、内訳はさまざまなものがある。

エナメルとは、素材そのものの名前ではなく、生地や革の表面に樹脂をコーティングして強い光沢を出す「加工」の名称です。もともとはガラス質の釉薬(ほうろう)を指す言葉でしたが、そこから転じて、鏡のようなツヤを持つ加工全般が「エナメル」と呼ばれるようになりました。

つまり「エナメルのレオタード」「エナメルのバッグ」と言うとき、その中身(基布)はポリエステルだったり、合成皮革だったり、本革だったりとさまざまです。表面に何を塗るか、下に何を敷くかの組み合わせによって、質感も価格も耐久性も大きく変わります。この構造を理解しておくと、素材を知るうえでの解像度が一気に上がります。

PVC・PU・パテントレザーとの違い

エナメルと混同されやすいのが、PVC(ポリ塩化ビニル)、PU(ポリウレタン)、そしてパテントレザーです。それぞれの関係を整理すると、次の表のようになります。

名称正体光沢の質主な用途
エナメル光沢コーティング加工の総称鏡面のような強いツヤ衣装・バッグ・靴全般
PVCポリ塩化ビニル樹脂硬質でビニールらしい光沢エナメルバッグ・レインウェア
PUポリウレタン樹脂しっとりした柔らかいツヤ合成皮革・衣装・ストレッチ素材
パテントレザー本革+エナメル加工深みのある高級な鏡面光沢高級靴・バッグ

ポイントは、PVCとPUは「コーティングに使われる樹脂の種類」、パテントレザーは「本革にエナメル加工を施したもの」だという点です。つまりPVCエナメルもPUエナメルも存在しますし、パテントレザーはエナメル加工の一種と言えます。例えば部活で使う「エナメルバッグ」の多くはPVC製で、正確には「PVCレザーのバッグ」です。

樹脂による質感の違いを見分ける

実際に素材を手に取ったとき、PVC系とPU系は質感で見分けることができます。PVC系は表面が硬めでパリッとした触感を持ち、冬場は特に硬くなる傾向があります。光沢はガラスのようにシャープで、いわゆる「ビニールっぽさ」を感じさせます。

一方のPU系はしっとりと柔らかく、生地の伸縮に追従しやすいのが特徴です。ストレッチ生地にPUコーティングを施した「エナメル調ストレッチ素材」は、体にフィットする衣装との相性が抜群で、レオタードやコスチュームの世界では主流の選択肢になっています。ツヤはPVCよりわずかに落ち着いており、ぬめりのある艶感と表現されることもあります。

衣装用途でエナメルを選ぶときの視点

さまざまなタイプのエナメル水着
▲衣装、とりわけレオタードや水着に至ってエナメル加工されているのはストレッチ素材であることが多い。実際のところツーウェイでも伸びの良いもの、締付けが強いものがあるため、各メーカーで着用感や見た目のテストは行われているはずだ。

身につける衣装としてエナメル素材を選ぶ場合、注目すべきは「伸縮性」と「基布」です。バッグ用のPVCレザーは伸びないため、体にフィットさせる衣装には不向きです。衣装向けには、ツーウェイストレッチのトリコット生地にPUコーティングを施したタイプが適しており、光沢と着用感を両立できます。

また、エナメル加工の宿命として「加水分解」や「べたつき」といった経年劣化があります。特にPU系は湿気に弱く、保管環境によって寿命が大きく変わります。長く楽しむためには、購入時点で加工の種類を把握しておくことが、その後のケアの精度にも直結します。

「エナメル調」「フェイクエナメル」表記の読み解き方

通販サイトや生地屋で商品を探していると、「エナメル調」「フェイクエナメル」「エナメル風」といった表記を目にすることがあります。ここまでの内容を踏まえると、これらの表記の意味が読み解けるようになります。

「エナメル調」は多くの場合、ポリエステルサテンなどコーティングを施していない生地を、光沢の見た目だけエナメルに寄せたものを指します。樹脂の層がないため軽くて扱いやすい反面、鏡面のような反射は得られません。一方「フェイクエナメル」は、本革のパテントレザーに対する合皮エナメル(PVC・PU)を指す文脈で使われることが多く、こちらはれっきとしたエナメル加工品です。同じ「フェイク」でも指している階層が違うため、商品説明では基布と加工の記載を確認するのが確実です。生地単位で購入する場合は、「トリコットベース」「ツーウェイ」といった記載があれば衣装向き、「合皮」「レザー調」とあればバッグ・小物向きと判断できます。

「エナメル」という言葉の解像度を上げよう

エナメルは素材名ではなく光沢加工の総称であり、その下にPVC・PU・パテントレザーといった具体的な素材が存在する――この構造さえ押さえれば、商品説明の「エナメル調」「フェイクエナメル」といった表記の意味も正しく読み解けるようになります。光沢素材の世界は奥深く、加工の違いが質感やツヤの個性を生み出しています。次にエナメル製品を手に取るときは、ぜひ「この光沢の正体は何か」という視点で観察してみてください。素材への理解が深まるほど、光沢素材の魅力はより鮮明に見えてくるはずです。

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