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- 水着フェチについて知りたい方
- 競泳水着とスクール水着の違いについて知りたい方
世の中に「スクール水着」と「競泳水着」と呼ばれている水着があって、我々はなんとなく差があると思い区別して呼んでいるような気がしますが、
実際のところどこにその差があるのでしょうか。
当サイトでも一応はスクール水着、競泳水着を分けて画像を掲載したり、解説を入れたりとしています。
ところがその呼び名があやふやになりそうな水着もあったりと、どこかフワフワした理由で「これは競泳水着」「これはスクール水着」と分けているような気がしてきました。
ふと気になったので、どこに違いがあるのかを調べてみることにしました。
なぜ分類して呼んでしまっているのか
まずフェチの人や別に水着が好きでもないような一般の方たちは、以下のような理由から「スクール水着」「競泳水着」と分類して呼んでいる現状があります。
- スクール水着
- 学校の授業などで使われている水着。
- 水泳部で使っているようなものはスクール水着とは呼ばず「競泳の水着」「競泳水着」と呼んでいたりする。
- 競泳水着
- 水泳部で使用しているような水着。
- 競泳競技で使われる水着。
このように使用場面によっての違いですね。
水着の形状というよりはイメージで語られるような部分です。
次に形状についてのイメージで分類して呼んでいるケースです。
- スクール水着
- 紺色一色のワンピース水着。
- 股のところがセパレート(三角形)になっている。
- 地味な感じで露出面も少ない感じの水着。
- 競泳水着
- ハイレグのワンピース水着。
- 背中が開いている。
- 全身をすっぽり包むようなチューブ状の水着。
- スパッツのような形状をしている。
形状になると一気にわかりやすくなるかもしれませんが、基本的には紺色一色の水着になると「スクール水着っぽい」そこから転じて「スクール水着」と呼ぶ人が多いようです。
たとえそれがレジャー向けに作られたものであったとしても「スクール水着」と呼ぶあたりは、完全に色によるイメージですね。
一方、競泳水着の方はハイレグということに主眼が置かれることのほうが多いようです。ハイレグの水着だと競泳水着っぽいとか、これもスクール水着の色のイメージ同様、形状による側面が多いようです。
実際にモデルさんを撮影する中で、全身タイプのユニタードを持ち出したときに「わー!これ競泳水着ですよね!」と言われたこともあったことから、最近の若い方はこちらが競泳水着のイメージに近いと感じている人も少なくないのでしょう。
それぞれの水着に定義付けはされているのか
それでは一般の方のイメージとは別に、競泳水着とスクール水着のそれぞれで、定義付けがされているのかということを見てみましょう。
スクール水着の定義について
Wikipediaを参考にしたところ以下のような一文が冒頭に載っていました。
スクール水着(スクールみずぎ)とは、日本の小学校・中学校・高等学校における体育授業の水遊び、浮く・泳ぐ運動、水泳用に使われている水着を指す俗称である。
これを元にすると、小中高校生が体育の授業において、水に触れる学習(一般的には学校敷地内にあるプールを利用した水泳の授業)ために使われる水着のことを示しています。
定義付けに至るスクール水着の歴史
実は現在の日本におけるスクール水着の歴史は第二次世界大戦後から生まれたものであり、敗戦後に設けられた新たな学校制度による学習指導要領が定められ、その際に小中学校、高等学校の体育および保健体育の授業で水泳に関わる授業が事実上、必修科目となったことから水着が必要となったのです。
学習指導要領では小学校低学年は「水遊び」、小学校中学年で「浮く・泳ぐ運動」、小学校高学年、中学校、高等学校では「水泳」と三段階に分けられ、それぞれにおいて水着が使われるようになりました。
それでは水着だったらなんでも良いのでは、という意見も出てくるかもしれませんが、当時の市販の水着では学校授業における「水遊び」「浮く・泳ぐ運動」「水泳」そのいずれにおいても、機能面、形状面から見て適切ではないと判断され、生まれたのが「体育の授業で使われるのに適切な水着」でした。
もちろん当時から「体育の授業で使われるのに適切な水着」などと仰々しい名前で呼ばれていたわけではありませんが、その形状としては当時の公式競泳競技で使われていた水着を参考に作られています。
学校の制服と同様、授業に使うことに遜色のない形状、プールの塩素にも耐えられるような素材といった観点で制定され、全国的にほぼ同様の形状と機能を持ったものを「学校指定水着」として認知されるようになりました。
「学校指定水着」から「スクール水着」へ
学校指定水着は販売時に、学校の授業で使う機能を持った水着であることを指し示す「学校指定」「学習用」といった文言をパッケージに入れるようになり、この時点で「レジャーや旅行で使う水着」とは一線を画すようになりますが、その中において「学校指定水着」とも言いにくくなったことから、学校で使う水着、ということで「スクール水着」という言葉が俗語として定着するようになりました。
転じて80年台後半から90年台にかけて台頭するようになった「お菓子系アイドル雑誌」の存在もあり、スク水という略称が用いられるようになり、近年ではコスプレも一般化したことから、一般人からもスク水、という言葉が認知されるようになりました。
スクール水着の定義をまとめてみると
これらのことからスクール水着は戦後、学校教育を行う上で必要な性能や形状が整えられた上でできた水着であり、メーカーによって色彩や形状に差はあれど、大筋ではほとんど同じの統一された学校で使われる水着、ということができると思います。
この中において形状の部分が指摘されることがあります。一番多いのが「旧スク水でないものはスクール水着に非ず」とか「最近のセパレート型、フリルが付いたようなものはスクール水着ではない」といった意見です。しかし、歴史的な経緯を踏まえて考えると、時代とともにスクール水着の形状が変化しただけであって、学校の授業で使われることを目的として開発された製品であるならば、それをスクール水着と呼ぶには何の落ち度もありません。
このことからスクール水着は形状で判断するのではなく、学習要領に沿ったものであるかどうか、という点で決められるものになります。
競泳水着の定義について
それでは次に競泳水着の定義について確認していきましょう。
競泳水着における現在の規定
競泳水着とは文字通り、競泳競技にて使われる水着のことを指し示します。
その競泳競技の法律とも言える、国際水泳連盟(FINA)一般規則(GR)第5条において、服装(Swimwear)として以下のとおり規定されています。
Wikipediaを参照しました。
- 全ての競技者が着用する服装(水着、帽子、ゴーグル)は、公序良俗に反せず、個人スポーツの規則に適合するものであって、許可された以外のいかなるシンボルもつけてはならない
- 補足:商標については、その面積の合計が1商品において16 平方センチメートル以下とするよう別途具体的な定めがある。
- いかなる水着も非透過でなければならない
- 競技会では、競技者はワンピースもしくはツーピースの水着であって、足首・手首・首までのものを着用しなければならない。それ以上の部品等は着用してはならず、アームバンドやリストバンドは水着のパーツとしてみなす
- 競技役員は、規則に適合しない水着等を着用している競技者を除外する権限を持つ
- 競技会で使用されるいかなる水着の新たなデザイン・設計・材料は、それらの製造業者が事前に国際水連(FINA)に届出、及び許可を得なければならない
- 水着の製造業者は、許可を得た新たな水着が、特定の競技者のためのものであってはならないことを理解しなければならない
- 補足:オリンピックや世界選手権で着用できる水着については、参加するすべての選手に満遍なく行き渡るようにする製造体制が取られていることが、許可の条件となっている。このため、各メーカーでは、最新式の水着を出す場合には、まず代表クラスにのみ供給し、徐々に販売する選手のレベルを下げて行くようにしており、物によっては発表から1年たってようやくエンドユーザー向けに発売したり、一般向けには一切発売しないということもある。
国内では、公益財団法人日本水泳連盟により競泳競技規則が制定されており、同様に水着に関して第14条水着等(GR5)で以下のように定義されています。
- 水着、キャップ、ゴーグルは見苦しくなく、人に不快感を与えるようなものであってはならない。(GR5.1)
- 水着は透けていてはならない。キャップを2枚かぶることは許される。(GR5.2)
- 審判長は、規則に反している水着を着た選手を参加させない権限を持つ。(GR5.3)
日本水泳連盟による競泳競技規則はFINAに準拠したものが制定されていますが、そのいずれを見ても競泳水着の形状について定義的なものはありませんでした。
例えば「全身タイプのものを競技用とする」とか「ハイレグでないと競泳水着とは言わない」といったことに近い記述があるのかと思ったのですが、その部分は完全にブラックボックス化されているようで、形状については特に触れられていませんでした。FINAによる一般規則では、競技会として使えるものかどうかを事前に届け出る必要があるため、デザインや形状についてもすべてここで決まるようです。
むしろ使用するロゴの取り決めや権益関係に関することを重要視する側面があるようにも見えます。ただ当たり前の話かもしれませんが、透けていてはいけないみたいですね。
競泳水着の歴史的背景から考える
競技用水着は1970年以降に、素材改良、性能向上を目的とした製品の見直しが行われてきましたが、その中で形状も大きく変化してきたのがこの競泳水着ということができます。
例えば1964年、日本で開催された東京オリンピック時の競泳水着は、水着がナイロン100%、トリコット編みの素材が使われた水着でした。この時の形状が現在の我々が「旧スク水」と呼んでいるものそのものでした。
その変遷については下記ページにて細かく解説しています。
これを見て思うのは「旧スク水」が実は競泳水着だった、という驚きですね。旧スク水も競泳水着と呼んでおかしくないというのはあるかもしれません。
少し脱線しましたが、これを皮切りに「新スク水」と呼べそうなデザインのものが1976年モントリオールオリンピックで使われており、現在の競泳水着の原型となる大きな背中の空いたモデルが1984年のロサンゼルスオリンピック。少しずつハイレグ化が始まった1988年ソウルオリンピックでした。
年 | 開催オリンピック | 日本国競泳水着の形状 |
1964年 | 東京オリンピック | 旧スク水タイプ |
1968年 | メキシコオリンピック | 旧スク水タイプ |
1972年 | ミュンヘンオリンピック | 旧スク水タイプ |
1976年 | モントリオールオリンピック | 新スク水タイプ |
1984年 | ロサンゼルスオリンピック | 競泳スク水タイプ(ハイレグ化が始まる) |
1988年 | ソウルオリンピック | ハイレグ系の競泳水着に近づきつつある |
1992年 | バルセロナピック | ハイレグ系の競泳水着にかなり近い |
1996年 | アトランタオリンピック | ハイレグ競泳水着 |
2000年 | シドニーオリンピック | 全身タイプ競泳水着 |
と、このような流れで競泳水着の形状は性能とともに進化してきました。
この観点から見ても競泳水着が形状のみによって判断されるものではないということができるのではないでしょうか。
競泳水着の定義をまとめてみると
さて、競泳水着の定義をどう考えるかについてですが、先述の通り形状によって左右されるものではなく、あくまで競泳競技目的で各メーカーから作られたものが競泳水着と呼べるといえます。
もっとも各メーカーは競技用として量産に入る前に、FINAに認証を得る必要があります。このことからもちろん認証を得られたものは競泳水着になり得ますが、競技ではなく競技練習用としても作られるものも存在しており、それらも総称して競泳水着と呼んで遜色ないといえるのではないでしょうか。もう少し細かな言い方をすれば「競技用に開発、販売を行っている競泳水着メーカーが、競技用にとどまらず練習など競泳に関わることを目的として作成された水着」となるでしょう。
こちらもスクール水着の時と同様「全身タイプは自分の知る競泳水着じゃない」「スパッツ型は邪道だ」といったことを時々耳にしますが、問題は形状でないことを重々、心に刻んでおく必要があると思います。
まとめ:競泳水着とスクール水着の違い
これまで競泳水着とスクール水着それぞれの定義付けについて調べてきました。
ここから導き出される答えは以下のようになります。
- スクール水着
- 学習指導要領で必要な機能を持った学習向けの水着
- 競泳水着
- 競技やそれに付随する一連の水泳目的で使用される水着
実際に使われる場面としてはマニアの間でしか交わされるような内容ではないかとも思っておりますが、今一度、水着の定義について考えてみると新しい世界も広がるような気がしてオススメです。
ぜひ皆様も普段、フェチの場面しか触れていないような水着の話の突っ込んだ部分を知ってみてください。