- フェチ中級者~上級者
- 競泳水着の寿命が気になる方
- ロゴは劣化するものと知っていて長持ちさせたいと考えている方
つい先日のこと。
あるモデルさんとのやり取りの中で「そう言えば古い水着のロゴってすぐボロボロになりますよね」と言われ、ふとそのことを思い出したので、今回は水着のロゴの話を書いていこうと思います。
競泳水着、スクール水着ともに言えることですが、マニアにとってはやはり重要な要素。これがあるかないかでフェチ具合が大きく変わることもあります。
不思議なものでロゴデザインを見るだけで、つい気分が高揚してしまうこともあるので、きっと重要な要素がはらんでいるのでしょう。
そもそもロゴはなんでついてるの?
水着につけられたメーカーのロゴは、その水着がどこのメーカーのものであるかを示す基準になりますが、ロゴが入っているからと言って、直接的にそのメーカーが競技用の水着を作っていい、と承認を受けているわけではありません。
現在では臀部付近に貼られるFINA承認マークが入っているものでないと、少なくとも公式競技では使用できない水着となっています(ただし練習時、非公式競技においてはこの限りではありません)
現代のスポーツ界では器具を製造販売を行うメーカーはもちろんのこと、スポンサーなど多様な団体からの協力無くしては実現できません。
もちろん各団体は慈善事業だけで行うわけにはいかないので、自分の団体(企業)の認知性を高めるため、ロゴをつけています。
ロゴを付けるには制限がある
とはいえ、自由にロゴを付けていいのかと言われれば決してそうではありません。
公益財団法人日本水泳連盟の規約はFINAに準拠していますが、日本水泳連盟競泳競技規則「第17条その他」の2項において、下記のように定められています。
全ての競技者・監督・コーチ・役員は、「競技会において着用又は携行することができる水泳用品、用具の商業ロゴマーク等についての取り扱い規程」(資料⑥)に違反する物品を、競技会場内で着用・携行して宣伝・広告の媒体となってはならない。
(1) 公式競技会および公認競技会のシンボルマークや、本連盟が認めたものは、この規則から除外する。
(2) この項に違反した者は、本連盟の審査によって登録競技者の資格を失う。
つまり水着に着いたロゴを使って宣伝的な活動を行ってはいけないと明示されているのです。
競技者はもちろん、競技に関わる人達はこのことを守らなければいけません。
それでは「どの範囲内であれば広告・宣伝行為とみなされないのか」については、「競泳競技会において着用又は携行することができる水泳用品、用具のロゴマーク等についての取扱規程」という規定に取りまとめられています。
この規定の第2条部分が、ロゴの指摘に関する事項になります。
(ロゴマーク等の使用基準)
第2条 全ての競技者、監督、コーチ及び役員(以下「競技者等」という。)は、競技会の会場内(招集所出口からテーブル・植栽・柵・チェーン・パーテーション等の造作物で仕切られた範囲内)で着用する水着及びウエアー・持ち物等に付けることができる所属チーム等の名称・マーク、スポンサーのロゴマーク、メーカーのロゴマークについて、
つぎのとおり取り扱う。
(中略)
5)水着には、30 ㎠以内の本連盟に事前承認を得たスポンサーロゴマークを1個及びメーカーロゴマークをウエストより上部に1個、下部に1個付けることができる。ただし、これらのメーカーのロゴマークは、相互に隣接して付けてはならない。ツーピースの水着には、上部に1個、下部に1個付けることができる
(中略)
(2)ロゴマーク面積の計測方法は着用前のものとし、ロゴマークを正方形あるいは長方形とみなし、縦×横で面積を求める。
引用:競泳競技会において着用又は携行することができる水泳用品、用具のロゴマーク等についての取扱規程
このようにロゴの大きさにまで言及しており、かつ測定方法も明示されています。
これを守らなければ規定違反とみなされ、関わった人に対して何らかのペナルティが課せられます。
各種メーカーから出ている水着のロゴは違いがあれど、大きさが一定なのはそのためです。
ロゴマークは何もしなくても劣化してしまう
プールに入ると塩素の作用によって水着が劣化することは、こちらの記事でもご紹介させていただきました。
ところが水着そのものもそうですが、ロゴ部分は特にプールに浸からなくてもどころか、新品状態から袋から出さず着用しなくても劣化が進んでいます。つまり水着が完成した瞬間から少しずつ劣化が始まっているということです。
ロゴはあくまで水着に貼り付けられているだけ
水着のロゴ自体は、ロゴが印刷されたプリントシートを熱圧着によってつけられています。見た目は水着と一体感のあるような感じがしますが、実際には別のものが上から貼り付けられている、と考えてください。
単純な熱圧着のため、時間が経てば何もしなくても剥がれてきてしまうのは想像に難くないでしょう。
水着の劣化現象の中でロゴが割れる、ということもありますが、これはプリントシート自体が空気に触れることで劣化しているのです。強度で言えば水着本体のほうが高いため、だいたいの場合においてはロゴが剥がれたり割れたりすることが、水着の劣化で最初に起こりやすいことと考えられます。
ロゴの寿命はどの程度なのか
当サイト調べのデータになりますが、各社水着メーカーから出ている水着のロゴを見ていますと、若干差があるようにも思えますが、新品を買ってきて箱から出さず、何もしていない状態で確認したところ5~6年でロゴの劣化が始まりました。
具体的には割れというよりはロゴが剥がれてきたような感じになります。
プールに浸かったり、着用を繰り返せばこの寿命はどんどん短いものになると思いますが、プール利用で1年未満。モデル着用で何度か、という場合でも3年未満でロゴの劣化が目に見えて現れてきます。
ただすべてのロゴが同じような寿命を持っているかといえば、決してそうではありません。
確認しただけでも、圧着プリントを行ったようなタイプのものや、金あるいは銀素材を使ったロゴ、布地に直接縫い込まれたようなワッペンタイプのものもありました。
それぞれにおいて寿命が違うのは言うまでもありませんが、種類によって耐久性に違いがあるということです。
スクール水着のロゴは少し違う
スクール水着の場合、ロゴが熱圧着ではなく、ワッペン上のものを縫い付けたものや、タグのようにつけられていることが多いため、ロゴ部分が劣化している、というものはあまりお目にかかったことがありません。
この点は競泳水着と違うと言えるところですが、ARN-75Wのような競泳スク水は熱圧着でロゴが付けられているので、劣化が起こってしまいます。
ロゴマークの劣化で注意したいのはオークション
ロゴはほっておいても劣化するわけですから、これは避けられることではありません。
その点で気をつけたいのは、オークションで競泳水着、スクール水着を購入する場合の話です。
ヤフオクを見ていますと、近年のモデルが並んでいる中に、10年以上の超レアなモデルが出品されていることがあります。
商品詳細を確認すると「新品未開封」と書かれていることがありますが、注意するべきはこの点です。
確かに新品であることには変わりないかもしれませんが、製造より数年経ってしまった水着は未開封とは言え水着の劣化は進んでいますので、購入して開けたあとにロゴが剥がれてしまった、ということは珍しくない確率で起こります。
特に10年以上前のモデル、2000年代初頭、それ以前の水着となると、新品であったとしてもロゴ部分は相当ダメージを受けているはずです。このことを考えると、大昔に発売されたモデルのロゴについては、半ば諦める気持ちで落札に臨んだほうがいいと言えます。
当サイト調べでメーカーロゴの劣化具合を比較してみた
ここからは推測の話も含んでいますが、冒頭のモデルさんと話をしていたときに「mizunoのロゴはなんだか強そうだね」という話が出ました。
確かに当サイトが備蓄している競泳水着を並べてみても、不思議とmizuno製の競泳水着については、ロゴが劣化しているものを見たという記憶があまりありません。
そのモデルさんも同じことを話されていたので、もしかしたらメーカーによってプリントシートに違いがあるのかも?という予想はあります。
上にある写真を御覧いただきたいのですが、ほぼ同年代であるarena、mizunoの2モデルを比較するとわかりやすいかもしれません。
一概に同一の環境であったとは言えないので難しいところはありますが、モデル着用向けとして使用頻度はmizunoのほうが高く、かつどちらも新品だったものです。どちらも水濡れはありません。
その中で見ると、やはりmizunoのロゴのほうがしっかりと状態を保ってくれているようにも見えます。
剥がれてしまったロゴの修理は可能?
それでは最後に剥がれてしまったロゴは修理が可能かどうか、という部分について言及します。
割れてしまったロゴはさすがに修復不可能であることはわかるかと思いますが、ただの剥がれだった場合はどうでしょうか?
この場合、熱圧着をやり直せばいいということになりますので、家庭用のアイロンを使えばなんとなくできそうなイメージはあるかと思います。
ただし水着本体自体は熱に弱いため、いたずらに圧着させようとすると水着本体が破損してしまうことが考えられますので、無理はしないほうがいいでしょう。
水着のロゴは劣化しやすく、不可抗力な部分もある
一般的には先述の通り、ロゴは熱圧着プリントによってつけられているため、私達が思う以上に単純な仕組みでつけられていますが、ロゴが劣化しやすいということはあまり知られていません。
たとえ新品であったとしても古いモデルの場合、ロゴ自体が剥がれ始めているものもあるため、コレクターにとっては頭の痛いところですが、ある程度の割り切りも必要かもしれません。