「ハイレグ(High leg)」とは、脚ぐり(股のカットライン)が通常よりも深く、腰の高い位置まで切り込まれたデザインを指します。
もともとはファッションデザインの用語であり、形そのものよりも「脚の付け根のカット位置の高さ」を表す言葉です。
一般的な水着や下着では太ももの付け根近くでカットされますが、ハイレグは脚のラインに沿って鋭く上がり、ウエストラインの中腹〜上部まで達します。
ハイレグの起源と歴史

ハイレグが世界的に注目されたのは1970年代後半。
1976年のモントリオールオリンピックで、新体操選手ナディア・コマネチが脚の付け根まで切り込んだハイレグレオタードを着用したことがきっかけとされています。
その後、1978年にイスラエルのデザイナー ギデオン・オバソン氏 が「ハイレグカット水着」を発表。これが世界的なブームを巻き起こし、「ハイレグ」という言葉が一般にも定着しました。
イスラエル最南端の街エイラートは「ハイレグ発祥の地」とも呼ばれています。
日本では1980年代後半にレースクイーン衣装やグラビア衣装として爆発的に流行。
当時のテレビ番組や雑誌では“超ハイレグ”という言葉も使われ、脚線美やセクシーさの象徴として広く認知されました。
「ハイレグ」の歴史

1980年代にはハイレグ競泳水着は存在していたものの、基本的には現在で言うところのローレグタイプが主流であったと考えられる。
もう少し詳しく知るためにハイレグの歴史について触れてみましょう。
ハイレグの形状が広く認知されたのは1976年のモントリオールオリンピック。
新体操選手、ナディア・コマネチがハイレグ上のレオタードを身に着けていたことで衣装としてのハイレグが知られました。しかし当時、ビートたけしが「コマネチ!」と叫び、股をV字型になぞる一発ギャグでも知られたものの、レオタードの形状を表した点以外では付随する要素もなく、そもそも「ハイレグ」という言葉も使われていませんでした。
その後、1978年にイスラエルのユダヤ人デザイナー、ギデオン・オバソン氏がハイレグカットという、当時で斬新なタイプの水着を発表したところ、これが世界的に大ヒットし、一般の人にも「ハイレグ」が言葉としても知られるようになります。
この点について、競泳競技に使用される競泳水着のハイレグ化は、その後1980年前半から始まっていることを考えると、こうした水着のデザインの人気が競泳水着のデザインにも影響を与えたことは想定できるかもしれません。
ちなみにイスラエルの最南端、エジプトとサウジアラビア、ヨルダンとの国境が集うエイラートという街は「ハイレグ発祥の地」と呼ばれています。
競泳水着における「ハイレグ」の意味

WLとWHで股ぐりのカットが変わっていることがうかがえる。
競泳水着の世界では、「ハイレグ」といったファッション的な呼称よりも、カッティング(脚ぐりの切込み高さ)を示す三段階の表記が一般的です。
多くのメーカー、特にアリーナ(ARENA)では、脚ぐりのカットを「高い」「普通」「低い」の三段階で区分し、これにより「高い」カッティングがハイレグ(ハイカット)に相当すると扱われます。一方、「普通」「低い」は、いわゆるレギュラーカット・ローレグに近い設計と見なされます。

なお、そもそも「どこからがハイレグなのか」という点については、ハイレグの角度の定義を別途まとめていますので、あわせてご確認ください。
たとえば、アリーナの型番後ろに "WH"(高い)や "WL"(低い)などの表記があり、それぞれ脚ぐりの高さ差を意味すると記載されています。 また、他ブランド(例:スピード)でも、「高い(レースカット)/普通(アクセライン)/低い(F-カット)」の三分類で脚ぐり形状を説明しており、これが業界標準的な分け方となっています。

arenaのハイレグタイプ「WH」の競泳水着着用画像
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arenaのローレグタイプ「WL」の競泳水着着用画像






ハイレグがもたらす美的効果と魅力

脚長効果 ― 視覚的に脚を長く見せる黄金比
ハイレグカットの最大の特徴は、脚ぐりのラインが高く引き上げられていることです。
このカッティングによって、太ももから腰にかけての縦方向のラインが強調され、脚が長く、腰の位置が高く見える視覚効果が生まれます。
特に競泳水着では、脚の付け根からボディラインが一直線に繋がる構造になっており、脚と胴体の境界を曖昧にすることで、人体のプロポーションが理想化されたように見える点が美的なポイントです。
ヒップラインの強調 ― 立体的な造形美の演出
ハイレグは、脚だけでなくヒップラインの造形にも大きな影響を与えます。
カットが高くなるほど生地が臀部の曲線に沿って引き上げられ、ヒップの丸みと立体感が際立つためです。
競泳水着はもともと水の抵抗を減らす目的から設計されていますが、結果として身体に密着する構造が、偶然にも女性らしい後ろ姿の美しさを最大限に引き出す形状となりました。
これは単なる「露出の多さ」ではなく、筋肉のハリ・ラインの緊張感・布地のテンションが一体となって作り出す機能美でもあります。
フェティシズム的観点から見れば、ラバーやスパンデックス素材特有の光沢が、ヒップラインをより立体的に際立たせるという効果も無視できません。
動作美 ― 機能と美の交差点
競泳水着のハイレグカットは、デザイン上の美しさだけでなく、機能性から生まれた美でもあります。
高い脚ぐりは、水泳動作時に太ももや股関節が自由に動くよう設計されており、水の抵抗を最小限に抑えつつ、スムーズなストロークを可能にするために生まれました。
そのため、選手が泳ぐ際には、水面上で脚のラインがより大きく伸び、力強さとしなやかさが同居する動的な美しさが生まれます。
この「機能が導く美」は、レオタードやバレエ衣装などにも通じる理念であり、見る者にスポーツと芸術の境界を感じさせる造形的な魅力を持ちます。
シルエットの完成度 ― 身体と素材の融合
最後に、ハイレグが完成させる最大の美的要素は、全身のシルエットにおける統一感です。
脚ぐりが高くなることで、上半身から下半身にかけての曲線が連続的になり、腰・ヒップ・脚が一つの流線形としてつながるように見えます。
特に競泳水着の場合、素材の伸縮性が高いため、身体の凹凸や筋肉のラインを滑らかに包み込み、人体そのものが造形物のように見える効果があります。
この「身体と素材の一体化」によって、ハイレグは単なるデザインではなく、身体そのものをデザインの一部に取り込む構造となります。
その結果、観る者の目には「水着のデザイン」ではなく「肉体の造形美」として認識される――これこそが、ハイレグが長年愛されてきた理由の一つです。
女性から見たハイレグの魅力

意外にも、女性の中にもハイレグに魅力を感じる人は少なくありません。
特に「脚がきれいに見える」「撮影映えする」「特別感がある」という声が多く、
弊サイトのモデルの中でも撮影用衣装として好んで選ぶ人が多数いました。
ハイレグは「人に見せるための衣装」であると同時に、
自分の身体の美しさを再認識できるデザインでもあるのです。
競泳水着に「超ハイカット」は存在するのか?
ハイレグ(WH)タイプが「高い」カッティングに相当することはすでに述べましたが、では「さらに深い」——いわゆる超ハイカット・超ハイレグに相当する競泳水着は、実際に存在するのでしょうか。
結論から言えば、競技用の正規品として「超ハイカット」を謳う競泳水着は、現在のメーカーラインナップにはほぼ存在しません。
競泳競技では脚ぐりの高さに関して事実上の上限があり、実用性や競技規則の観点からも、一般的なWHタイプを超えた過剰なカッティングは採用されていません。
一方で、コスチューム系ブランドやフェティッシュ向けスポーツウェアの分野では、競泳水着の形状を模しながらも脚ぐりをさらに引き上げたデザインが存在します。これらは競技使用を前提としないため、より大胆なカッティングが可能となっています。
ではコスチューム系の超ハイカット水着にはどのような実例があるのか——その詳細については、超ハイカット水着の実例をまとめた記事でくわしく解説しています。
現代におけるハイレグの位置づけ

現在ではこのような競泳水着タイプのハイレグコスチュームが数多く見られるようになった。
競技規制によりハイレグの“競技方面での主導権”は後退しましたが、ファッションや撮影、コスプレ/パフォーマンスの領域ではハイレグの造形性や視覚的インパクトが再評価されています。Y2Kや2000年代リバイバルの潮流、ボディコンシャスなデザイン志向、SNS映えを狙ったスタイリングなどが追い風になっています。
また、素材や縫製技術の進歩により、「露出はあるが安定して着用できる」ハイレグ設計(ずれにくい縫製・補強・シリコンパーツ等)が増え、写真表現やライブパフォーマンスで使いやすくなっている点も特徴です。
ハイレグ=脚線美と機能美の融合
ハイレグとは、単に脚ぐりを高く切り上げたデザインを指す言葉ではありません。
それは、「機能性」と「美意識」の境界で生まれ、時代ごとにその意味を変えながら生き続けてきた、水着デザインの象徴的な存在です。
もともとは競泳における可動域の確保と水抵抗の軽減という実用性から生まれた形状でした。しかし、その流線型のラインがもたらす造形的な美しさ、身体の曲線を強調する視覚的効果によって、やがてハイレグは機能を超えて「美」を体現するデザインとして独自の文化を築いていきました。
現在の競技シーンでは、テクノロジーや規則の変化により、ハイレグそのものが主流というわけではありません。むしろ多くの選手が着用するスーツは肩から膝まで覆う全身型が中心です。
しかしそれでも、ハイレグという言葉が消えることはありません。なぜならそれは、単に“カットの高さ”を意味するのではなく、「身体を美しく見せる工夫」そのものを象徴する言葉だからです。
ハイレグは、競泳・フィットネス・ファッション・コスチューム――どの分野においても、“身体をどう見せたいか”という問いに対するひとつの答えです。
そしてその答えは、見る人にとっても着る人にとっても、「美とは何か」「強さとは何か」「自由とは何か」という感覚的テーマを映し出す鏡でもあります。
言い換えれば、ハイレグとは身体表現の象徴であり、時代や用途を超えて“自己を引き立てるためのデザイン哲学”なのです。




