
スクール水着と一口に言っても様々な形状のものがあります。
いちばん有名なもので言えば旧スク水が挙げられますが、その次に見られるものがあるとすればパイピングのタイプのものではないでしょうか。
今回はそのパイピング水着とはどういったものかについて紹介いたします。
パイピングとは

▲パイピング水着の特徴でもあるパイピングは肩紐のゴムの部分のように生地を始末しているタイプの水着のこと。スクール水着では一般的なデザインとして知られている。
水着でいえば、首周りから肩紐(ストラップ)部分にかけて、この手法で整えられているものがありますが、この手法で作られた水着をパイピング水着。スクール水着ではパイピングスク水、などと言ったりすることもあります。
また首周りから肩紐にかけての部分だけでなく、レッグカット部分にもこの始末方法が取り入れられているものもあります。
デザインとしては野暮ったく見えてしまいますが、末端の布地がしっかりとカバーされるため、水着としての強度は高くなると考えられます。
パイピング水着はいつ頃から登場した?

▲上の写真は1980年代に使用されていた競泳水着。今で言えばスクール水着と呼ばれそうだが、当時はこの水着が競泳の世界で使われていた。
当時としては競泳水着としても扱われていたARN-175Wを皮切りに、グラビアの世界で名を馳せたARN-75Wへと変遷していきますが、arena以外の各メーカーもこのパイピング水着を発表しています。
90年代に入ると、水着の形状がさらに変化したため、その流れで少しずつパイピングタイプの競泳水着は姿を消し始めますが、スクール水着はそのまま2000年代に入っても残り続けています。
パイピングスクール水着の特徴
パイピングのスクール水着には、それ以外のタイプのスクール水着にはない特徴がいくつかあります。
肩紐(ストラップ)部分

▲左:Lacymate3500(新スク水)と右:SPEEDUP35005(パイピングスク水)の肩ひも部分を比較してみた。
パイピングの水着はゴム紐のようになっているのがわかる。
肩紐の色は白であることがほとんどですが、一部のモデルでは、水着に合わせた紺色や、視認性を高めるために蛍光色にするなど様々なものがあります。
視認性を高める理由は、プールに潜った場合でも着用者の存在を見つけやすくするためで、ファッション性というよりは安全性向上のために採用されています。

▲こちらのスクール水着はパイピング部分が蛍光色になっている。視認性を高めるためだろうか。
背中部分

▲左:アシックスデポルテD350(旧型スクール水着)と右:arena ARN-75W(パイピングスク水)の背中部分を比較してみた。旧スク水であるD350はUバックになっているが、ARN-75WはフリーバックⅡと呼ばれる競泳型の形状をしている。
パイピングタイプのスクール水着は、その形状から競泳水着にも似ていることから、競泳スク水と呼ばれることもあります。
股のカッティング

▲左:フットマーク1210000(旧型スクール水着)と右:arena ARN-75W(パイピングスク水)のカッティング部分を比較してみた。ARN-75Wがハイレグ気味に作られていることがわかるだろう。
それまでのスクール水着は、旧スク水で言えば布をつなぎ合わせたような水抜き部分がついていましたが、パイピングのスクール水着は競泳水着のように、競泳水着ほどではないにせよ、ある程度、ハイレグカッティングの傾向が見られます。
パイピングスクール水着の実例
それでは実際にパイピングのスクール水着にはどのようなものがあるのか、実例を交えて紹介しましょう。
arena : ARN-75W
パイピングスクール水着の代表格といえばこのモデルでしょう。
10年以上学校教育の現場で使われてきたロングセラーモデルであり、後継のモデルも存在します。
SPEEDUP : 35005A
ARN-75Wのような形状であることは違いありませんが、脇から脚にかけて、ロゴ入りのラインが入っています。
まとめ:パイピングのスクール水着は現在も現役
学校の授業で水泳の授業が減りつつあり、またスクール水着も日本人の考え方が変わってきたことから、もともとあったスクール水着は姿を消し、パレオのようなものがついたものやセパレート型など様々な形状のものが出現しました。
しかし、その中においてもパイピングスクール水着は現在でも主流となっており、一般的なスクール水着として認知され、使われています。野暮ったいデザインではあるものの、その歴史は30年近くは使われています。
パイピングスクール水着は今後も残り続けていくのではないでしょうか。