スクール水着と聞けば紺色の旧スクを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし実際には旧スクール水着に見られるような形状だけではなく、競泳水着のような形状のもの、色も様々なものがあります。
こうしたスクール水着に対するイメージは、当サイトの記事「競泳水着とスクール水着の違いはどこかまとめてみた」で紹介しているとおり、日本における学校教育の学習要領によって決められたものがあったためにそのようなイメージがついてしまいました。
近年ではフリル型やスパッツ型、セパレート型といったものもある中で、スクール水着にはどんな形状、色があるのか、こちらの記事で紹介してまいります。
スクール水着の形状編
スクール水着の材質はほとんどものでナイロン、ポリエステルといった化学繊維で作られています。
また色も紺色または黒色の一色で統一されており、一部の水着では白や他の色のラインが入ったものもあります。
新スク水では一部の部分が水中で目立つ色を施したモデルも存在します。これは安全確保のためとされており、万が一水中に沈んだとしても、着用者の状況が把握できるものとして取り入れられました。
女子用のスクール水着の基本的な形状はトップスとボトムスが一体となったワンピース型ですが、その形状は年代によって様変わりしています。
2010年代以降ではセパレート型、スパッツ型なども登場し、見た目の面で旧来のタイプとは大きな違いがあります。
とはいえ、
- 成長期の使用されるもの
- 週に何度か使用されるもの
という観点から、素材については大きな変更はなく、伸縮性に富み、塩素に強い素材が採用され続けていることには違いありません。
1.旧型スクール水着(旧スク水)
先述の通りスクール水着の代表的な形状をもった水着です。
元々は競泳競技用として1960、70年代に使用されていた形状ですが、学校指定水着として採用されたことから、この形状の水着がいわゆる「スクール水着」であるという認識が強まったと考えられています。
呼び名は、その後様々なモデルのスクール水着が登場したことから、そこから見て古いモデル、ということで「旧スク」あるいは「旧型スクール水着」と呼称されるようになりました。
最大の特徴はなんと言っても股間部の布にあります。通常のワンピース型水着の場合、下腹部と股間部の布は一体型となっていますが、旧型スクール水着では、下腹部と股間部の布が分離しており、股間部の布は下腹部の裏側に重なるように縫い付けが施されています。そのため股間部は筒状のような形状となっており、この部分で股間部の保護を行うような仕組みとなっています。一部の水着では、下腹部ではなく腰の両サイドで縫い付けを行っているものもありますが、見た目的にはどちらも大きくは変わりません。
この点についてスカート状にも見えることから、過去においては「スカート型」と呼ばれていました。
なぜこのような形状になったのかは諸説ありますが、一般的に知られていることとしては、
- 伸縮性をもたせ、激しい運動や成長期における体型の変化にも対応できるように
- 胸元から流れ込んでくる水を股間部に流して泳ぎやすくするため
と言われています。
また旧型スクール水着のほとんどは背面がU字バックとなっています。
素材はナイロンまたはポリエステルが採用されています。いずれも100%の構成であるため、現在の水着と比べると伸縮性に欠け、生地の編み方によって伸縮性を出しています。そのため旧型スクール水着では厚手のものが多く存在しています。
1970年代に入ると、素材にも変化が現れ、ポリウレタン混紡の素材を利用した水着が開発されることになりますが、当時の水着のデザインは過去のものを採用していたことから、当時の競泳水着のデザインそのままに素材が変わったモデルも存在していました。
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2.新型スクール水着(新スク水)
1980年代頃から登場したスクール水着であり、一部では新タイプと呼称されることもあるのが、この新スク水です。
こちらも色が紺色のものがほとんどであったことから、スクール水着のイメージとして一役買っているものですが、特徴的だった股間部と下腹部の分離については解消され、現在のワンピース型水着のように一体型となったのは、この水着からです。
一見すると競泳水着と同一視されることもありますが、股ぐりのデザインは学校教育で使用されることを念頭に置かれているため、ローレグで競泳水着と比べるとごわつきがあります。
背面は旧型スクール水着のときに見られたU字型だけではなく、レーサーバック(Y字型)なども出てくるようになりました。
なおこの形状の水着が販売されているところでは「ラン型」という名称が付けられていることもあります。
ラン型とはランニングの略であり、生地が厚めで肩幅部分が広く作られた水着が、そのような名前で販売されています。水着の形状から、上半身がランニングシャツのようにも見えることから付けられた名前だと言われています。
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3.競泳型スクール水着(競泳スク水)
1980年代後半からメジャーになりだしたスクール水着で、形状としては1980年代前半で競技用として採用されていた競泳水着のデザインを踏襲したものです。
この頃になると合成繊維に対する技術が向上し、水泳競技に科学的な視点で水着が開発され始めた頃でした。ボトムラインはローレグであることには違いありませんが、旧スク水、新スク水の頃と比べると若干、ハイレグ傾向になりつつあるのも、この水着の頃です。
そのため素材も当時の競泳水着とほぼ同一のものが採用されており、これ以前の水着よりもフィッティング性が高く、締め付けが強くなりました。そのため非常に体型が出やすくなったとも言えます。生地の伸縮性はあるものの、競泳水着に近いデザインとなったため、従来のものよりも食い込みが発生しやすい傾向にあります。
代表的な競泳スク水は肩から背中にかけての部分が、白か水着に近い色のストラップでできており、パイピングが施されていることから、この水着については「パイピング型」と呼ばれることもあります。またこれまでのスクール水着と違い、一般的な競泳水着のようにも見えることから製造会社のロゴだけではなく、学校やスイミングスクールのロゴもつけられるようになりました。
新型がラン型と呼ばれることに対して、こちらの水着は「キャミ型」と呼称されることがあります。ラン型はランニングシャツのように見えるから、が理由ですが、こちらは上半身がキャミソールのようにみえることからキャミ型と呼ばれることがあります。
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4.スパッツ型スク水
2000年代に入ると女子の保護観点から体育の授業時に着用していたブルマが廃止され、ショートパンツに移行した流れで、これまでのスクール水着も変わることになりました。
スパッツ型はその一つであり、スパッツ形状のスクール水着となっています。
スパッツの丈は0分から5分丈のものが主流で、着用するとレスリングのユニフォームのようにも見えます。
一般的には「ユニタード型」「オールインワン型」「ショートジョン型」と呼ばれておりますが、同様の競泳水着についても同じような呼称がされています。
5.セパレート型スク水
セパレート型スクール水着と女児発育の傾向
スクール水着にセパレート型が採用されだしたのは2000年代前半から顕著になってきたとされていますが、その背景には子供の発育の変化があります。
昭和時代に比べ、子供の発育は欧米化しており小学生の発育段階において身長が伸びやすい、女子のおいては昔に比べふくよかになった、というデータがとられています。
早い段階では小学生高学年の段階でスポーツブラの着用を行うなどの実態もありますが、体の発育に伴い精神面でも大人化の傾向が表れています。
成長における精神面での変化
身体面での成長による精神の変化に加え、メディアや世相にも感化された側面もあり、早熟的な悩みを持つ女子が増えました。
例えば「良い香りがする女の子になりたい」「ムダ毛を隠したい、処理したい」といった大人になってから考える女性特有の悩みが中学生の段階で普通に語られる、といったもの。
これまでのスクール水着は野暮ったい、地味とはいえ、股ぐりの形状は水泳競技で使われる水着と大きくは変わりませんし、脇の部分においてのデザインもそうです。
これらのことから女子が水泳に対していいイメージを持たなくなる、といった危惧がスクール水着メーカーなったのではないでしょうか。
そうした昨今では普通になった女子の悩みにより、スクール水着の形状も変化していったと言えます。
セパレート型スクール水着が悩みを解消する?
さて、ここで登場することになったセパレート型のスクール水着ですが、セパレート型のスクール水着が多感な女子の悩みを解消することになったかどうか、という点について真意は計り知れませんが、それでも先述の問題点は大きく改善されたとえいるかもしれません。
上にある画像の通り、脇の部分は半袖となり問題は見事にクリアされています。
また長袖の方はラッシュガードとして使用されていますが、セパレート型スクール水着の上に着用し、このまま泳ぐことができるなど特に日差しの強い南日本において利用されていることが多いようです。
スクール水着メーカーの取り組みは、女子に水泳を嫌いになってもらいたくない、という真摯な思いがあることがわかりました。
スクール水着の背中編
先述の説明でスクール水着の形状によって肩紐の部分が幅広に作られていたり、パイピング形式だったりと様々なものがありますが、スクール水着の種類によって背面も様々な違いがあります。
旧スク水時代はUバックが当たり前でしたが、その後、最新の競技用に合わせたデザインに変わってきたこともあり、背面のデザインも変わってきました。
1.U字型
旧型スクール水着ではごく一般的に見られるデザインです。一部新スクール水着などでも見られることができますが、特に凝ってはいないオーソドックスなデザインです。
過去の競技用競泳水着でもこのタイプでした。
2.Y字型(レーサーバック)
レーサーバックとは、背中側にあるアームホール(袖ぐり)が背中中心へ寄ったデザインとなっており、Y字型に見えるものを言います。
スポーティーな服装にはよく見られるデザインですが、スクール水着では新型スクール水着の頃から見られるようになりました。
3.クロスバック
スクール水着では珍しいタイプの背面デザインとなりますが、肩紐(ストラップ)が交差しているタイプをクロスバックと呼びます。
他の背面デザインとの大きな違いは見た目もそうですが、着用時のホールド感が高くなるため、水着が大きくずれにくくなるところがポイントです。
見た目に反して着脱がしやすいところも特徴の一つです。
4.フリーバック/V字バック
競泳型スクール水着のデザインとしては一般的な背面デザインです。ストラップが前面の両肩から伸び、背面は背中の真ん中より上あたりでまとめられている形状をしており、競泳水着ではフリーバックと呼ばれています。arenaなどのメーカーではスクール水着であってもフリーバックと呼んでいますが、その形状からV型、V字バックと呼ぶこともあります。
5.フライバック
競泳型スクール水着のデザインは先述のフリーバックが一般的ですが、一部フライバックと呼ばれるタイプのものもあります。
他のスクール水着のデザインと大きく違うところは、背中がぱっくり空いたような競泳水着のデザインに非常に近いというところにあります。ストラップが肩甲骨付近固定されていて、まるでストラップを延長するかのように前面へ布地が伸びています。見た目が羽のように見えなくもないのでフライバックと呼んでいるかもしれません。
形状としては非常にレアタイプであるため、オークションでは高額で取引されることがあります。
スクール水着のカラーリング編
スクール水着のカラーリングは、第二次世界大戦後に作成された学校教育要領によって紺色か黒色で統一されたものがほとんどでしたが、一部では他の色も採用された水着があります。
旧スク水タイプでは、競泳水着のデザインでは他の色も存在していたものの、紺か黒でした。ところが新スク水、競泳スク水とデザインが変化すると共に、他の色も出現するようになりました。
学校教育においては、こうした色を学年によって使い分けたりするところもあり、例えば、1年生は紺色、2年生は緑、3年生は赤、といった感じで、教育者から見てわかりやすくすることも行われていました。
1.紺
紺色はスクール水着を代表する色であり、イメージカラーともなっています。多くの人にとってもスクール水着といえば、この色のものを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
ただ同じ紺色と言ってもメーカーによって、若干の違いがあります。ちょっと明るめのものや深い藍色のようなもの。花紺と呼ばれる少し緑がかったものもあります。
2.黒
黒色もスクール水着のイメージカラーとなっていますが、紺色よりは少ない印象があります。旧スク水タイプや新スク水では黒色のスクール水着を見かけることはなく、競泳スク水の時代になってから積極的に採用された色のようです。
3.赤
新スク水、競泳スク水において赤色という水着が出現しました。非常に明るい色であるため、水中での視認性は黒や紺色よりも高いものとなっています。こちらは新スク水の時代からその存在が確認されていたことから、黒よりも歴史のある色かもしれません。
4.青
紺色ではなく、スカイブルーといった色のイメージがあるのがこの青です。紺色よりも明るい色ではありますが、プールは一般的にブルー系等の床で覆われているため、少しわかりにくいような印象もあります。
あまり一般的でないことは確かですが、お菓子系の雑誌、グラビア誌を中心に人気の高い配色となりました。
5.緑
珍しいものとしてはこの緑があります。メーカーによって、色のばらつきはありますが、他の色の水着と比べても、物珍しさというのはあるでしょう。
6.オレンジ
オレンジもかなり珍しい部類に入ります。明るい色であるため視認性は高く、教育用に採用していた学校もあったようです。
パターンとしてはオレンジ一色で統一されたもの。黒を差し色としてラインを引いたものなどが確認されています。
7.白
白色のスクール水着が学校教育で使用されていた、という話は聞いたことがありません。こちらは純粋にコスチューム用として開発されたものと推察されます。
とは言え、学習用水着を製造販売しているメーカー製のものもあることから、製造を委託された工場が開発されたものもあったようです。
スクール水着のライン編
スクール水着に付けられたラインは脇の下から腰にかけて太めのものが引かれたもの、胸から太ももにかけてひかれたものがありますが、視認性の向上を目的としてつけられたものと考えられています。
スクール水着の種類によっては線が色違いになっているものもあり、こちらも前述と同様、学年の違いを認識するために利用されていたものもあります。
ラインの入ったスクール水着
こちらの水着は脇から腰にかけてラインが入ったもので、オーソドックスなものです。このライン部分が白であったり、それ以外の色であったりすることがあります。
スクール水着の素材編
スクール水着の素材にも違いがあり、大きく分けて2種類の素材に分けられます。
- ポリエステル
- ナイロン+ポリウレタン
いずれの素材にも長所、短所が備わっており、実はスクール水着を選ぶ上で重要な要素となっているのがこの素材の話です。
スクール水着の素材については、【画像つき!】すべすべ系orゴワゴワ系?生地から考えるスク水の選び方で詳しく解説いたしますので、ぜひご覧ください。
スクール水着特有のポイント・用語編
スクール水着には競泳水着や他タイプの水着にはない特徴的なポイントについて専門的な用語が使われることがあります。
スクール水着を理解する上で必要な用語もありますので、ここで解説いたします。
1.前垂れ
旧スク水、それよりも古い旧旧スク水にのみについている構造で前垂れ、と言います。
水着の裏側を見てみると、写真の右側にある赤枠で囲われた部分が縫合されており、上の部分と下の部分は縫合されていないためちょうど水着の中で筒状のような構造ができます。
写真左部分を見てもらうとわかりやすいかもしれませんが、水中で泳いだ際には前から後ろへ水着がこの筒状の部分を抜けることによって水の抵抗を下げているものと考えられます。
別名水抜きともいわれるのはこれが所以となっています。
新スク水、競泳スク水にはこのような構造がないのは水着に使用している繊維が進化し、水の抵抗を下げるためにこのような構造が必要がなくなったこと。そして何よりも水着自体の構造が変わってしまったことによるものと考えられます。
スクール水着が好きな男性にとってはもちろんですが、スク水好き、という女性もこの部分に魅力を感じる人が多くいます。別にそんなに好きでない人でもスクール水着のイメージと言えばこれ、という人は少なくないのではないでしょうか。
2.プリンセスライン
こちらも旧スク水にのみ存在している構造です。
脇から鼠径部近く(脚の付け根)あたりにかけて伸びるラインのことをプリンセスラインと呼びますが、これは先述の前垂れの縫い目が関係しています。一般的に付けられた名称ではないため、おそらくスクール水着ファンが勝手につけた自然派生的な言葉ですが、フェティッシュさを感じることのできるラインとして認識されています。
3.パイピング
競泳型スクール水着のストラップで使われているのが、このパイピングです。
元々は縫製を行うときの始末方法であり、布の端がほつれないようにするためのものでした。
パイピングについてのより詳細なことは別記事で書き出しましたので、コチラをご参照ください。
パイピングの色は白かスクールと同じ色(紺色)が採用されていることが多いのですが、ごく一部のメーカーのものは蛍光色を取り入れたものもあります。これは水中での事故を未然に防ぐため、視認性を高め、プールの底に沈んでいる人がいないかを確認しやすいためと言われています。
まとめ:スク水と一口に言ってもバリエーションは多くある
このようにスクール水着とはいっても、紺色無地の旧スクだけでなく、年代において様々なデザイン、カラーリングを施されたものが作られてきました。ある意味においてはスクール水着形状の変遷は、学校教育の背景がよく分かる資料としても活用することができるのではないでしょうか。日本の歴史やその背景において、スポーツ界から学校教育現場を見たときの流れというものがよくわかります。また今後もスクール水着は進化していくものと考えられており、さらなる形状の変化が起こることは不思議な事ではありません。
真面目にスクール水着というものも捉えた場合、どのような背景があって、そうした変化が起こったのか、ということも考えながら見ていくと、楽しめる一つの要素になるのではないかと思います。