
様々なイベントに彩りを与えてくれる女性たち。
とりわけモータースポーツではレースクイーンとして、80年代後半?90年代後半においては、露出の高い衣装を着用し、カメラマンたちの羨望を集めることもあります。
特にレースクイーンはハイレグの衣装が印象的ですが、
知らない人にとってはあの衣装が水着と思う人も多いのではないでしょうか。
今回は彼女たちの衣装が水着なのか、はたまたレオタードなのかについて解説いたします。
結論から言えばレオタード

▲レースクイーン衣装の一例。こちらはチューブトップのワンピース水着タイプとなっているが、右画像のとおり、裏地がない。水着として作られていないということがわかる。
当サイトsukumizu.tvでも解説した記事がありますが、彼女たちが着用する衣装はワンピース上の水着のものであればレオタードに分類されます。
その理由は水着として機能できるかどうか、の違いにありますが、レースクイーンの衣装には原則として裏地というものが存在しません。
胸部にも裏地があるわけではなく、また股の部分においてはクロッチがありません。
これらは水中に入った際に、透けることを防止するためにつけられているものですが、そもそもレースクイーンの衣装は水着に入ることを目的としていないため、裏地がついていない、というわけです。
単純にその目的がギャラリーを盛り上げる、きらびやかな衣装である以上、水着というわけではなく、機能的には体操競技にもあるベロア生地でできたような身体の躍動感を華美に見せるためのレオタードに近い、というのがレースクイーンの衣装の特徴です。
裏地がないためインナーを使用

▲レースクイーンが身につける衣装は超ハイレグ、Tバックであることが多いため、画像のようなインナーを身に着けて場に臨むことが多い(こちらはインナーがはみ出てしまった写真)
裏地がないということは生地が厚手に作られていて透けにくくなっているのか、ということも考えられますが、実際にはそんなことはありません。
素材やデザインにもよりますが、レースクイーンの衣装は他の水着やレオタードと同じような厚みのない生地で作られており、そのまま着用してしまうと透けやすくなってしまいます。
特に乳首は浮きやすいため、このままではイベントで着用することはできないでしょう。
そのため彼女たちは必ずといっていいほど、インナーを着用します。
胸はニップレスやスポーツ用のカップで対応し、下腹部はサポーターを穿きます。
ただしレースクイーンの衣装はハイレグで作られていることが多いため、そのような衣装を着用するときはTバックのインナーを用いたりしています。
近年のレースクイーン衣装における傾向

▲近年、ハイレグタイプのレオタードはレースクイーンの衣装として見ることが少なくなってしまった。
先述の説明からも垣間見えていることかもしれませんが、いわゆるレースクイーンといえばハイレグレオタードの印象が強いという人は少なくないと思います。
ハイレグレオタード状の衣装が取り入れられたのは1990年代前半からと言われており、その後、セパレートタイプの衣装、ミニスカート全盛期という時代の流れがあります。
ただ露出面で言えば、1990年代前半が過去最高であり、彼女たちを見たいがためにイベントに足を運んだ人も多くいます。それほど鮮烈だったということでしょう。
しかし近年では2000年代に流行したセパレート系の衣装ですら、鳴りを潜めるようになりました。
その理由は欧米を中心とする婦人団体の抗議によるものです。
女性を商品として見ることは許されない、性的搾取につながる、という特に2010年代から叫ばれるようになったポリコレ問題に端を発したことで、モータースポーツのみならず、様々なイベントから、露出の高い衣装が姿を消すことになりました。
この問題の構造は日本の体育教育におけるブルマに近いものがあるかもしれません。
ブルマは本質的には女性の運動しやすくするための衣装として採用されていたものですが、この問題と同様に露出に対する考え方が指摘されたため、2000年代には姿を消しています。
今ではいわゆるユニタードタイプの衣装や、コスプレを意識したようなものなど、新しい衣装が登場する流れとなりましたが、1990年代に視線を集めたような注目を浴びることは少なくなりました。
レースクイーンのルーツは日本にあった

▲レースクイーンの発祥は鈴鹿8耐にあると言われている。
時代をさかのぼりますが、モータースポーツの文化は海外が発祥ではありますが、レースクイーンの存在は日本が発祥と言われています。
バブル期に差し掛かる手前の時代、1978年から始まった鈴鹿8耐が日本の鈴鹿市で開催されます。
鈴鹿8耐は炎天下の中、競技が行われるわけですが、真夏の日差しを和らげるために女性がライダーに傘を差しかけたところ、そのシーンを写真に収める人が出始めました。
おそらく最初のうちは男臭いサーキットの世界で、女性の心遣いによって生まれたシーンかもしれませんが、これをきっかけにレースクイーンが誕生することになります。
メーカー各社は、女性が着用する衣装にロゴを入れ始め、私達がよく知っているレースクイーンの形になったと考えられます。
当時の記録を見ると、ピンク1色でできたレオタードを着用した女性の写真を見つけることができましたが、今のような派手さや華美なものというよりは、非常にシンプルな衣装だったことがわかります。
ここから各社注目を浴びることができるよう、ハイレグにしたり、ミニスカートにしたりと、力を入れるようになったのではないでしょうか。
また、この頃のレースクイーン衣装につけられたスポンサーロゴは、上記記事の写真からわかるとおり胸元についていることがほとんどでした。しかし、時代が進むにつれ、男性が注目しやすい部分にも企業ロゴがつけられるようになりました。これは胸元だけではなくヒップにもつけられるようになった、ということです。
今後、ハイレグレースクイーンの時代は訪れるのか
最後のまとめになりますが、冒頭でも説明したようにレースクイーンの衣装は、ワンピース水着のような形状のものであれば、レオタードに属するものと考えていいでしょう。
しかし近年ではそのような衣装を見かけることが大変、少なくなりました。
女性人権団体における意見や抗議がその理由の一つになっていることは確かであり、今後、どのように考えていけばいいのかという問題は今でも続いています。
とはいえ、弊サイトのコンテンツを作成する中で、様々なモデルさんから意見を伺ったときに、元レースクイーンとして活動されていた方からすれば、このような衣装にまで言及してくることについては、あまり良く思っていないようです。
「私達は誇りを持って、露出の高い衣装を身に着けイベントを盛り上げているのであって、決して安く見られるようなことはしていない。自分たちの仕事の場を奪わないでほしい」という意見もあります。
今後どのような展開を見せるのかはわかりませんが、個人的にはポリコレ議論が行き着くところまで行き着いて、どうにもならなくなったとき、また復活の目が出てくるのではないか、と思っています。