当サイトはたくさんのスクール水着フェチ、競泳水着フェチといった人に御覧頂いておりますが、どういったキーワードで当サイトにたどり着いたかを分析してみると、中にはレオタードフェチの方もいらっしゃいます。
レオタードといえば、非常に水着に親しいイメージがありますが、水着とレオタードの違いはどこになるのでしょうか。
ふとそんな疑問が頭に浮かんだので、今回は水着とレオタードでどのような違いがあるのかについて、様々な観点から掘り下げて解説致します。
歴史から見た場合の水着とレオタードの違い

まずは双方の歴史から紐解いていきましょう。
両方とも似たような関係ではありますが、その起源は全く違ったところから起こっているようです。
具体的な解説に入る前に、簡易版として簡単に表に起こしてみました。
| 水着 | レオタード | |
|---|---|---|
| 概念としての発祥時期 | 紀元前1世紀~紀元後1世紀 | - |
| 衣類として認められ始めた時期 | 18世紀 | 18世紀中期 |
| 登場まで代用されていたもの | 下着・不要な服 | - |
| 代表的な素材(現在) | ナイロン・ポリウレタン等・スパンデックス・ツーウェイ | スパンデックス・ツーウェイ・ベロア |
| 関係した人物 | アネット・ケラーマン(オーストラリア)(女優)(女性) | ジュール・レオタール(フランス)(曲芸師)(男性) |
| 生まれた目的・用途 | 海水浴・レジャー | 演技・演出 |
| 種類 | レジャー用、競技用など多数 | 競技用、演技用など |
水着の歴史
まずは水着の歴史から見ていきましょう。
人類は川や海といった人間に必要な要素を兼ね備えた水場で街を作り、生活や経済を豊かにしたことは世界中の歴史を見ても珍しいことではありませんが、水場が近かったということは、そのための衣装がどのような歴史を経て概念から具現化されていったのかを解説致します。
水着という概念が起こり始めた時代
水着の歴史は現在わかっている説だと紀元前にまでさかのぼります。
火山噴火により一瞬にして地中に埋まったと言われる都市、イタリアのポンペイより発掘された壁画にはビキニのような衣装を着用している女性が描かれていました。
ポンペイが栄えた時から滅亡するまでの間の年代、そして壁画の変遷を考慮すると紀元前1世紀~紀元後1世紀であることがわかります。

Exhibit:Alessandro Bonvini
とはいえ、この時からいきなり皆がビキニのような水着を着ていたのかといえばそうではなく、その後19世紀まで続く、下着を着たまま水に入る、いらない服を利用して海に入る、あるいは裸で水遊びをする、といったことが通例であり、水に入るときの格好が水着という具現化されたものが利用され始めたのはもう少しあとの話になります。
考えてみれば、そこから水着と呼ばれるものが具現化されるまで1800年近くかかっていることを考えると、人類の科学の進歩は目まぐるしかったのに、人生で多くの人が触れるであろう水のある生活についてはあまり考えてこられなかったのかな、と少し不思議にも思います。
現代の水着の前身となった水着

19世紀に入ると、内陸で過ごしていた人たちが海に出やすい時代となります。これは鉄道網の発達によるものとされていますが、鉄道による旅行が人々に親しまれたのもこの時代ではないでしょうか。
海に出た人たちはこぞって海水浴を楽しみますが、この時代の服は白麻が使われていることが普通であったため、これまで通りいらない服を水着の代わりにしたとしても、水に濡れたときに肌が透けやすくなり、多くの人前で見せたくない部分を露出してしまう問題点がありました。
そこで、考えられたのはサージやアルパカといった透けにくい素材で作られた服が考案されました。これらの布地で肘まで丈がある袖と膝までを覆うパンツで上下を揃えた服(スーツ)が着用されるようになります。ちなみに水着は英語でSwimmingsuitですが、suitの語源になったのはこの服のことを指し示します。
残された当時の記録を見てみると、現代の水着とは全く違い、普通の服であるかのように見えますが、これが当時の水着であることを考えると、この時代は他人に肌を露出させることが問題であった時代ということが考えられます。
現代の水着の始祖となった水着

これまでの水着はあくまで水に浸かった際に透けにくくすることを目的とした衣服のようなものとして存在してきましたが、1900年代に入るとそれが大きく変化します。
1907年にアネット・ケラーマンというオーストラリアの女優がアメリカのボストンに訪問した際、水中で動きやすいように首、手足を露出した今で言うワンピース水着を考案し、着用したことからはじまります。その見た目はスパッツ型のスクール水着のようなものでした。

ただ着用するだけならおそらくこの水着は大衆に広まらなかったかもしれませんが、今では当たり前となった身体のラインが丸わかりになってしまう水着を着用したことによって、公然わいせつ罪でケラーマンは逮捕されてしまいます。
この事件をきっかけに新聞などでワンピース水着のことが広まったと考えられますが、当時は女性が社会活動や運動するといった権利拡大の運動が盛んだったこともあり、ケラーマンの「女性がワンピース水着を着る権利」をアピールしたとして社会に受け入れられるようになりました。
元よりアメリカでは1853年にエリザベス・スミス・ミラー、アメリア・ジェンクス・ブルーマー両氏の功績によって女性のための動きやすい服装ブルマが認められていた背景があったので、ワンピース水着も同様に受け入れられたのではないでしょうか。
その後、1920年頃に短いスカートがついたキルト式水着、スカートを省略し上下を一体となるように縫製した「タンクスーツ(Tank suit)」が流行するようになりました。
特にタンクスーツはこれまでのどの水着よりも活動的、機能的なものとされ、その見た目は旧スク水に近いものだったと言われていますが、もちろんこの水着のデザインが継承され、後のオリンピック競技で使われる競泳水着や、日本のスクール水着へと進化することになります。
20世紀中期以降は水着の進化の時代だった
特に1950年以降はファッションの流行が目まぐるしく変化していく中で、その時代の流行やトレンドに合わせた水着が登場し、ビキニ、ハイレグワンピースと言った数々の水着が登場することになります。
1890年から2010年代に至る100年の水着の歴史について、参考となる動画があるのでぜひ見てみてください。
レオタードの歴史

Exhibit:Walter
次はレオタードの歴史について解説致します。
これまでに説明した水着とは全く違う歴史をもっていることがわかります。
スポーツ芸術の演出から考案された衣装
19世紀後半に活躍したフランスの曲芸師、ジュール・レオタールによって考案された衣装だと言われており、彼の姓レオタールからとってレオタードと呼ばれるようになりました。
なぜレオタールが全身にフィットする服を着て曲芸をするようになったかというと、彼が考案した曲芸の演目にありました。

今では珍しくなくなった空中ブランコを最初に始めたのはレオタールという有名な逸話がありますが、この空中ブランコで行う演目のラストにプールに飛び込むという演出が加えられるようになります。
もちろんプールに飛び込むわけですから、水中で身動きの取りにくい服を着るのは命取りです。そこで肩紐がついた水着を着用することになりますが、これがレオタードの原型になったと言われています。
練習時もそうですが、もちろんサーカスなどで実演する際もこの衣装を着用して演目をこなしていきますが、先述の通り当時は空中ブランコというものが非常に珍しいものだったことと、プールに飛び込むという迫力満点の舞台に観客が酔いしれ、この衣装が「アクロバティックな運動をするときに着る衣装」として広まったのではないでしょうか。
その後、バレエやその後登場する新体操などの競技に合わせてレオタードも進化し、レオタールが考案したものとはまた違ったものが現在ではレオタードと呼ばれています。

歴史で比較した場合、水着もレオタードも「水に入るためのもの」だった
さて、まずは水着とレオタード、双方の歴史からその違いについて検証してみましたが、驚きだったのは両方とも最初は「水に入るための衣装」だったということです。
水着はもちろんそのとおりですが、現在のレオタードはプールや海に入ることを目的に作られてはいません。
この点から考えると、発祥の部分で言えば両方とも似たもの通しの衣装だったということが伺えます。
日本にレオタードがやってきたのはいつ?
ちなみに日本でレオタードが初めて見られたのはいつでしょうか。
それは1871年(明治4年)と言われています。この年、フランスのサーカス団、スリエー座が来日し、現在は靖国神社となっている九段の招魂社(現在の靖国神社)をはじめ、浅草、京都、新潟などで興行したと言われています。
実はその前の開国してから10年後の1864年(元冶元年)に、日本国内で初めて外国人によるサーカスが行われたのですが、当時は香港から団員を呼んだこともあり、火の輪くぐりなどレオタードを必要としない演技が中心でした。
当時のことを思うと、サーカスは珍しさはあるものの興行としては多くの人に知られていたことから、フランスからやってきた一座がレオタードを着て行う演目を多くの人が見ることができたのではないでしょうか。
世界的に大ヒットとなった漫画「鬼滅の刃」でもレオタードを着用する描写があるそうですが、大正時代を設定とした同作品のことを考えると、大正には日本人もレオタードを着用することがあったのかもしれません。
素材から見た場合の水着とレオタードの違い

それでは次に素材から見た場合の水着とレオタードの違いについて解説致します。
両方とも似て非なるもののように思えますが、実際のところはどうなっているのでしょうか。
水着・レオタードに共通する生地素材
水着とレオタードの生地について語る上で外せないのがツーウェイと呼ばれる生地の存在です。ツーウェイとはアルファベットにすると「2way」となりますが、その名の通り二方向という意味にこの生地の機能的特徴があります。
通常の生地の場合、伸縮する方向は一方向のみに限られるため、激しい動きを伴う運動を行った際に、どうしても生地の伸びる方向によっては手足が躍動しにくい、ということが問題となっていました。
ところがこのツーウェイは縦横両方向に伸びることができるため、運動にも適していると言われています。現在では布地を販売しているような専門店に行くと、様々な種類のツーウェイ生地が並んでいます。表面がエナメルのような光沢感のものもあれば、昔ながらの生地など様々です。
生地を扱うショップでは水着・レオタード用として販売されているため、両方に適している生地であることは確かですが、レオタードも水着もなんとなくつるつるすべすべな肌触りのメージがあるのはこのツーウェイによる肌触りのためです。
現在ではスパンデックス(Spandex)の名で知られており、ブランド名としてはデュポン社が開発した「ライクラ」の名で多くの人に知られています。現在ではスパンデックスという言葉よりもライクラという言葉のほうが認知度が高く、ライクラフェチなんて言葉もあるくらいです。

水着に使われる代表的な生地素材
水着の素材としては先述の通り、スパンデックスが用いられることが多いのですが、例えばスクール水着ではナイロン、ポリエステルなどが使用されています。
水着に使われる素材の性能として求められるのは、運動時における伸縮性ももちろんですが、海水や塩素消毒されたプールの水に対する耐性がある程度求められるという点にあります。

レオタードに使われる代表的な生地素材
レオタードの素材としては、やはりスパンデックスが用いられることが多くあります。陸上での躍動を確かなものにするためには、筋肉の動きにもしなやかに対応できることが求められることから、縫製方法に違いはあれどやはりスパンデックスがポイントとなるのは間違いないでしょう。
反面、水着と違う目的としては演技を華美に見せるというものがあります。そのため、水着では用いられないようなベロア生地、より光沢感の強いメタリックエラスティン、グリターエラスティン、ラインストーンで飾り付けを行うなど、演者を豪華に見せるための素材が使われています。

Exhibit:Wei-Te Wong
水着、レオタードの目的に合わせ素材は変化する
このように基本的には水着、レオタードともにスパンデックスが用いられることが多いものの、水に浸かる、演技をする、といった目的の違いによってそれぞれの素材に違いがあることがわかります。素材の観点で言えば、水着とレオタードは似ているようで、詳細な部分では違いが出るといったことがわかります。
水に浸かるという観点で見たときの水着とレオタードの違い
水着、レオタードの双方の歴史において元々は水に浸かることを目的にしたものであるという解説は行いましたが、現在の水着はともかく、レオタードが水に浸かるということはあまり考えられていません。
水着、レオタードに限らず、水に浸かると透けてしまうという問題が発生してしまいますが、元々水に浸かることを前提に作られた水着にはクロッチや裏地がつけられているなど、透けるための工夫が行われています。
反対にレオタードは陸上で演舞を行うための衣装ですから、裏地についてはあまり考えて作られていません。
このあたりの設計思想の違いによって、水着、レオタードが区別されるのではないでしょうか。
余談:水に浸かるレオタードもある

Exhibit:Peter Enyeart
レオタードは水に浸かるために作られたものではないという話はしましたが、余談として面白い事例があるのでご紹介します。
長崎県壱岐島の八幡地区というところで、なんと「レオタード漁」というものが行われています。
字面だけ見てもびっくりな感じがしますが、その名の通り長崎県壱岐島の海女さんはレオタードを着用して海に潜り、漁を行います。
なぜレオタードを着用して漁を行うようになったかというと、ピッタリしていて動きやすいという理由で、1990年頃からレオタードを着用し始めたといいます。
もっともレオタード一枚だけ着て海に潜るのではなく、下着となるシャツを着用した上にハイネックのヒートテック、その上からシャツを1枚着て、その上に水着、レオタードという構成で漁に臨みます。
それまでは男物のシャツとパッチを身に着け、ブルマを着用していました。ところが、この格好だと海の中では身動きが取りにくいという問題があったそうです。
そこでレオタードを取り入れたのですが、元々伸縮性の高いレオタードは運動に適していたことから使われ始めたとか。
そして面白いのが、水着とレオタードの間に採った海産物をしまって漁を行っているところです。
おそらく最初のうちはこのアイデアはなかったと思いますが、海に浮かべた桶に入れに行くよりも効率的であることから、海女さんにはレオタードが受け入れられたという側面もあるようです。
海女といえば観光の見世物として上半身には何も着ないで胸をはだけさせて行われていた地域もあったことから、このレオタード漁も見世物のためか?と思いましたが、実際に機能的な部分と仕事の効率化を考えて行われた漁であることが伺えます。
もちろん、観光的な発想もあったのかもしれませんが・・・。
まとめ:現在では機能によって水着、レオタードが区別されている
本文でも説明しましたが、水着はあくまで水に入ることを目的として、そのための機能が備わったもの。レオタードは陸上で運動することを目的とし、かつ場合によっては華美に見せるための装飾がついているもの、という感じで区別することができます。
とはいえ、元々の発祥が水中での運動をしやすくするためのもの、ということを考えると、素材の観点から見ても親戚のような関係性があると思います。
この違いについて説明することができれば、水着フェチ、レオタードフェチとしても、ちょっと格が上がるかもしれませんね。どういった格かというのはなんとも言えませんが。






